自分が購入した書籍の感想を書いてみたい。今回購入したのは 横山勲著「過疎ビジネス」(集英社新書)(税込み1,100円) たまたま「過疎」という言葉に目が留まり購入した。
〇どんな内容か
河北新報編集部記者である著者が、「企業版ふるさと納税」制度を財源とした不適切と疑われる公金支出の経過を追ったもの。プロローグから、「地方議員」を「雑魚」呼ばわりする関係者の音声データを紹介している。
舞台となったのは、福島県の国見町という人口8千人程度の町。2022年頃、匿名の複数企業による4億円ほどの「企業版ふるさと納税」を財源に、高規格救急車を12台購入して他の自治体にリースするという地方創生事業があった。
ここで、ほとんどの人が、「救急車を他の自治体にリースすることと、「まちおこし」に何の関係があるの?」と疑問に感じると思う。
「企業版ふるさと納税」のメリットは、寄付額の最大9割が法人税などから税額控除されること。ここで、寄付を行った企業の関連会社が、寄付金を財源とした事業を受注できれば、本来課税されていた利益が、巡り巡って自社の関連企業の売り上げになっている。
〇読んでみた感想
どの自治体も過疎化が進み、職員の事務量の増加、さらに職員不足に悩んでいるニュースを見かける。自治体は年度区切り(4月から3月まで)で予算を支出するので、年度も後半になると、住民に耳を傾けている余裕はないと思う。
一番の問題は、自治体の規模に見合わない国からの補助金。要はバラマキ行政だと思う。「まちを良くしたい」と思っていても、結局、コンサルの言いなりになって「予算消化」になってしまう。もちろん、全てのコンサルが「悪徳」というわけではない。
国見町ほどでもないが、似たような事例が全国になるのかと思うと唖然とする。「まちおこし」、「地域活性化」に関心のある方は、一度手に取ってほしい書籍である。
コメント